魂の重さは21グラム!?実験と映画と真実

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あなたは『21グラム』という映画を知っていますか?2003年に公開されたこの映画は、魂の重さが21グラムであるということを証明したと主張する、とある博士の奇妙な実験からアイデアを得て作られた映画です。

人間には魂はあるのでしょうか?また、人間に魂があったとして、その重さを量ることなんてできるのでしょうか?

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人間の魂の重さを量る実験した人がいた!

人間の魂の重さがあるのではないかと考え、奇想天外な実験をした人がいます。
20世紀が始まったばかりの頃、アメリカのマサチューセッツ州立病院の院長であったといわれるダンカン・マクドゥーガル博士は、人間の魂の重さを量るため奇妙な実験をしました。その実験の結果、人間の魂は3/4オンス(約21.262g)であることがわかったと博士は主張しました。

ダンカン・マクドゥーガル博士の実験

ダンカン博士の実験はこのようなものでした。

ダンカン博士は紙一枚の重さも量れるという、緻密で正確な秤を病院の床にセットし、その上にベッドを置きました。そして、もうすぐ亡くなる末期患者をそのベッドに寝かせました。
そのようにして観察をしたところ、患者が亡くなる瞬間に、約21グラムだけ、患者の体重が軽くなった、というのです。

人間が死んだあとに体外に出て失われる汗や尿や、窒素や水素も計算して、その結果を出したのだと、ダンカン博士は主張したそうです。博士はこの実験を6人の患者に対して行いました。

にわかには信じられない結果ではありますが、現在でもダンカン博士の実験結果を信じ、支持する人が大勢います。人間には魂があって、物理的にその重さを量ることが出来る、という実験結果は、わたしたちに夢と希望を与えてくれるのかもしれません。

博士は、同様の方法で犬でも実験を行いました。ダンカン博士が主張するには、犬の場合は、体重の増減はなかった、というのです。つまり、人間には魂(21グラム)があるが、犬には魂がないから死後も体重は変わらない、ということのようです。博士は15頭の犬に対して同様の実験を行いましたが、死後体重が軽くなった犬は一頭もいなかったそうです。

しかし実験結果をめぐり激しい論争に・・・

この実験結果は『ニューヨークタイムズ』に掲載されました。1907年3月のことです。
実験結果の記事を見た、内科医オーガスタ・クラーク氏は、ダンカン博士の実験結果に激しく反論しました。

内科医オーガスタス・クラークの主張

クラーク氏は、人が死ぬときには肺の機能が停止するので、血液を冷やすことができなくなる。そのため少しだけ体温があがり、汗をかくが、このときにかいた汗の重さが、死後に減少した21グラムの正体なのだ、と主張しました。

また、犬には皮膚から汗をかく機能がないため、死後も体重が変わらないのだと述べました。

医者ダンカン・マクドゥーガルの主張

これに対してダンカン博士は、人が死ねばその瞬間に血液の循環もとまるため、体温が上昇することで皮膚が温まることはない。したがってこれは汗ではない、と述べました。

一般の人も巻き込んで続く論争・・・

ダンカン博士とクラーク博士の書簡でのやりとりで行われた討論は『ニューヨークタイムズ』に掲載され、その年の年末まで議論は続きました。一般市民や科学者もこの議論に注目し、ダンカン派とクラーク派に意見は割れました。しかし、ダンカン博士科学者からは「非科学的」と、相手にされなかったようです。この実験が、たった6人の患者でしか行われなかったこと、また、計測の方法がずさんであるため「非科学的」であるというのが科学者たちの見解でした。しかし、博士の計測方法のどこが、どのように「ずさん」であったのかは、はっきりしないようです。

この奇想天外な実験は多くの人の興味を引き、たいへんに話題になったということでもあります。

魂が抜ける瞬間を写真におさめたダンカン博士

このように、人々を巻き込んで議論を繰り広げたダンカン博士でしたが、この論争のあとは、しばらくの間、沈黙を守っていました。

ところが、4年後の1911年、ダンカン博士は再び世間を驚かせます。博士によると、今度は死ぬ瞬間の写真を撮影したが、その写真に写る死の間際の人間の頭の周りに「星間エーテル」に似た光が映っている、というのです。

星間エーテルというのは中世物理学の「エーテル理論」に基づくものです。中世の科学では、わたしたちの存在する宇宙には「エーテル」というものが充満していると考えられていました。もちろん、現在の科学ではエーテルの存在は否定されています。

博士は、死ぬ瞬間の患者の頭部の周りに、宇宙を満たしていると考えられていた「星間エーテル」が取り巻いており、この「星間エーテル」が死後軽くなった21グラムの正体だ、というのです。

この実験によって博士は完璧に「スピリチュアルな人」と思われるようになってしまったようですが、オカルトファンからは熱い支持を得たようです。

そしてダンカン博士は亡くなった

このようにさまざまな物議をかもし出したダンカン博士ですが、9年後の1920年に亡くなりました。54歳という若さでした。

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ダンカン博士の他にも実験した人はいた

「魂の重さ」の実験はダンカン博士が有名ですが、同時期にオランダのザールバーグ・フォン・ゼルスト医師もおなじ実験をし、おなじ実験結果を得ています。

また、ドイツの医師団も20世紀初頭に同様の実験を行っています。こちらの実験では死後35gの体重が減少するという結果になったようです。

人間の魂に重さはあるのか?

結局のところダンカン博士の実験は、「非科学的」であるとみなされ、残念ながら科学者からは嘲笑される結果になってしまったようです。
現在でも一般的には、魂に重さがあるという実験結果は「非科学的」であると認識されているようです。

現在の科学では、人間の魂の存在は証明されていません。

しかし、最近の科学の進歩にはめざましいものがあり、量子力学や脳科学の研究も日々進んでいます。量子力学の世界では、物質は今までの物理学で考えられていたものとは全く異なった振る舞いをします。また、脳科学でも、今までの常識を覆すような人間の意識のしくみがわかりつつあります。また、宇宙にはダークマターが存在するという仮説もあります。

人間にはまだまだ、分からないことがたくさんあるのですね。

今は「非科学的」と思われている「魂の重さは21グラム」という説ですが、未来の世界では科学的に解明されているのかもしれませんね。

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